フリーランスという仕事。決してラクな仕事ではありません。大きな資金力もなければ、企業(法人)としての看板もない。ではフリーランスとしてやっていくには、一体どんなことが必要かというお話をします。
まずフリーランス、個人事業主、またコンサルタントなど色々な言い方がありますが、どれも大差ない同義です。正確に言えば、フリーランスと個人事業主はほぼ同義、コンサルタントは職種です。大手を除いて、個人コンサルタントは世の中に意外に多いので、同義という扱いで私はいいと思います。
それぞれ細かい定義はいろいろありますが、気にするほどのことでもありませんね。「フリーでコンサルタントやってます」、「個人事業主で企業のコンサルティング業務やってます」といった感じです。
フリーランス、個人事業主の共通点をあげるなら、冒頭でお伝えした「法人ではない」ということ。これはビジネスをやっていく上では、一般的には不利なイメージになってしまいがちですが、実はそれほど大した問題ではないです。
法人が安心というわけではなく、意思決定のスピードや機動力、事業転換なんてフリーランスなら翌日にもやってしまえます。だから不安だといわれることもありますが、それは法人でも同じことで「表に見えない水面下で知らないうちに変わっていく」ほうがよほど不安というのが私の考えです。取引の規模が大きくなりがちなBtoBならなおさらなんですよね。
法人=実力が高いにはならない
少し話がそれますが果たして法人と個人を比較した場合、「株式会社だから安心安全」といえるかという問題。比べる基準が明確なので表面的には判断しやすいものですが、仕事の質や成果という意味では何とも言えません。法人だからスキルが高いというわけでもなく、フリーランスだからスキルが低いというわけでもありませんから。
フリーランスの中には自身の腕一本で、大手企業からの依頼を継続的に受注しているウェブデザイナーもいます。個人事業主として通信や広告の営業を請け負い、正社員以上に費用対効果の高い実績を上げ、その対価として毎月70万~100万近くの委託料を受け取っている一人営業マンもいます。
活用次第でパフォーマンスは3倍
年商10億~15億規模の企業でも、個人事業主やフリーランスとの付き合いが深い会社は日本全国にものすごい数があります。とくに人材派遣業界はごく普通ですね。現にいま私は愛知県の営業代行会社のSP事業(主に通信とウォーターサーバー)の獲得研修やVR商材の営業研修をフリーランスという立場で請け負っています。
これは企業側がフリーランスというリソースをうまく活用している例ですね。世の中、セールスプロモーションの会社はいくらでもありますが、なぜフリーランスである私に依頼するのか聞いたことがあります。私のクライアントの答えは「法人は単価は高いのに、不慣れな人材や新人をあてられるから」と言っていました。全てがそうではありませんが、研修などを兼ねて新人投入というのはよくある話でもあります。
コストが増加する要因として、法人の場合は会社を維持していくためにオフィス賃料や人件費、さまざまな固定費や流動コストを、販売価格としてクライアントへ転嫁することが基本になります。逆にリモートや各個が独立して、必要な時だけ集まる少数精鋭でやっている我々フリーランスにはそういった考えはあまり存在しません。フラフラしているイメージからか、だからフリーは信用ができないと言われるのも納得はできます。
ただ、結局のところビジネスをやっていく上でもっとも大切なことは、法人か個人かということよりも「価値の高い活動プロセスと想像以上の結果」がそこにあるかどうかだけなんですよね。「実力の高さとは関係がない」ということだけはハッキリと言い切れます。
フリーランスやコンサルタントに必要なこと
冒頭でお伝えした「フリーランスやコンサルタントに必要なこと」のお話をします。コンサルタントですので専門分野のスキルだとかが問われそうですが、それ以上に大切なことがあります。それはごく当たり前に「まともであること」です。
元も子もない言い方になってしまいますが、世の中、特別な人だけがコンサルタントとして活躍しているわけではありません。当たり前のことを当たり前にできる人。それだけです。スキルよりもまず先に人間。スキルなんてものは後からでもいくらでも身に付くんです。たとえばマナーの悪い人とは誰も仕事しませんよね。ここで言うマナーとは、特別なことではなく、ビジネスマンとして社会人として当たり前のことです。
- アポや納品期日等の約束を守る
- 嘘やごまかしをしない
- 失敗は素直にみとめ詫びる
こういう当たり前のことです。もうコンサルタント云々というよりも、ビジネスマンとしての基本ですね。
もうひとつフリーランスやコンサルタントに必要なことがあります。それは情報の共有です。企業でも同じことが言えますが、プロジェクトをすすめる際に、情報の共有ができないメンバーがいると、あっというまにチームが機能しなくなります。
努力でたいていカバーできる
資質は生まれつき持ったものと言われます。しかし能力の差は、大きな努力を惜しまなければ、誰にでも埋めることができると思っています。そのベースになるのが、当たり前のことを当たり前にやる、仕事に誠実に取り組むといった、最低限のマナーと自分への覚悟みたいなものなんですね。
相性が合わないビジネス
いかがでしょうか。どんなビジネスであったとしても、両者に信用と信頼がなければ成り立ちません。双方のマナーが成立しなければ、両者のためにもそのビジネスはできるだけ早く清算したほうがよいといえるでしょう。
フリーランスやコンサルタントに必要なことは、正直であり、素直であること。腹の底からクライアントのために尽くす心、精神を持っていること。これがベースになります。逆を言えばこれさえあれば、チャンスはいくらでもあるということです。
ただし相性の合わないビジネスというのも必ずあります。人対人なので仕方がないことなのかもしれません。そんなときは、できるだけ早く自分からそのビジネスを清算する。両者のためを考え、あえて、これを提言していくのも、コンサルタントの仕事であり、また能力といえるのではないでしょうか。